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「グループホーム入居を考えているけど費用面が心配」という方が多くいらっしゃるのではないでしょうか?
そこでこのページでは、知的障害をお持ちの方が、グループホーム(共同生活援助)で生活する為に必要になる費用についてご説明します。
(以前あった「ケアホーム」サービスはH26年4月に「グループホーム」サービスへ統合されました。)
※最終更新 2019/3/18
グループホームではなく入所施設の費用をお知りになりたい方は下記のページをご覧ください。
・知的障害者入所施設(障害者支援施設)での生活に必要な費用グループホームと入所施設の違いをお知りになりたい方は下記のページをご覧ください。
・知的障害者グループホームと入所施設の違い
グループホームでの生活に必要な費用って?
知的障害をお持ちの方がグループホームで生活する為に必要な費用を大きく分類すると次の様になります。
グループホームは主として夜間のサービスである為、日中は作業所(就労系サービス)やデイサービス(生活介護)等、別の福祉サービスを利用することが多いです。(日中の福祉サービスを利用せず、一般企業等に勤務するケースも有ります。)
日中と夜間で別々のサービスを利用する為、料金の内訳も次の様に少し複雑になります。
(1) グループホーム(共同生活援助)利用料
(2) グループホーム(共同生活援助)利用中の食材料費・家賃・光熱水費
(3) 作業所(就労系サービス)やデイサービス(生活介護)の利用料
(4) 作業所(就労系サービス)やデイサービス(生活介護)利用中の食材料費
(5) その他の費用
入所施設と異なり、家賃等の一部料金において上限が設定されておらず、運営主体が社会福祉法人から株式会社まで様々で経営方針も異なる為、料金設定はまちまちです。(低所得者向けから高所得者向けまで多彩なホームから自分に合った住環境を選択出来るのは利用者にとってメリットでもあると思います。)
ただ実際には収入は障害基礎年金のみ、もしくは障害基礎年金と作業工賃という方が多いと思います。ですのでホームの方も年金収入の額を意識した料金設定をしている所が多いですし、不足があっても生活保護に移行しない様、負担を軽減する仕組みがあり、軽減しても不足する場合には生活保護でサポートされます。
5つの費用について詳しく教えて!
それではここからは必要な5つの費用について、もう少し詳しく説明をしていきます。
※20歳以上の方を想定しています。
※金額は特別に記載が無い限り、月額を表しています。
(1) グループホーム(共同生活援助)利用料
(3) 作業所(就労系サービス)やデイサービス(生活介護等)の利用料
福祉サービス利用料は1割負担ですが、「利用者ご本人とその配偶者の所得」に応じて負担上限月額まで減額されます。
「利用者ご本人とその配偶者の所得」ですので、ご両親、他のご家族の収入やご本人の預金、資産は関係ありません。
負担上限月額の区分ですが、
年収が概ね | 負担上限月額 |
---|---|
0円~300万円の方 | 0円 |
300万円~の方 | 37,200円 |
となっています。
福祉サービス利用料についてはほとんどの方が負担0円(無料)になるのではないでしょうか?
(2) グループホーム(共同生活援助)利用中の食材料費・家賃・光熱水費
食材料費・家賃・光熱水費は入所施設と違って上限設定がありません。ですのでホームによって料金はまちまちなのですが、年金の範囲内で生活出来ることを意識した料金設定をしているホームも多いです。
また、家賃助成として、1万円の補足給付(=特定障害者特別給付費)が支給されます。市町村によっては独自に上乗せを行っているところもあります。
(4) 作業所(就労系サービス)やデイサービス(生活介護等)利用中の食材料費
日中の通所サービスの昼食代は食材料費のみの負担で良い事になっています。
具体的な料金については、厚労省のページから引用した下記をご覧下さい。(なぜこの料金になるのかと言う説明は、長年に渡る制度変更で経緯が非常に複雑になっている為、申し訳ないのですが割愛させていただきます。。)
通所施設では、低所得、一般1(グループホーム利用者(所得割16万円未満)を含む。)の場合、食材料費のみの負担となるため、実際にかかる額のおおよそ3分の1の負担となります(月22日利用の場合、約5,100円程度)。なお、食材料費は、施設ごとに額が設定されます。
ちょっと大事な話:利用者が負担する食材料費以外(給食スタッフの人件費等)は食事提供体制加算という補助金でまかなわれているのですが、この補助金が平成30年3月末で廃止される予定でした。しかし利用者の大幅な負担増をまねく恐れがある等として反対が相次ぎ、この廃止は撤回されました。ただし廃止は今後改めて検討するとされており、楽観は出来ません。
(5) その他の費用
その他の費用については医療費等一部を除いては実費になりますので、無駄遣いを避け、節約を心がけましょう。
以下のような費用が想定されます。
- ホームや日中サービスの基本サービス外の費用 数百円~数千円
利用者ご本人が個人的に希望されたレクリエーションの材料費等です。費用が高額にならないよう心がけている事業所がほとんどだと思います。 - 医療費 なし~数千円
障害者医療費助成制度で大幅に減額されます。減額割合は市町村によって異なりますが、無料という市もあります。 - 被服費 なし~数千円
衣類を購入する費用です。普段着、作業着(日中作業所に通所する場合)、外出着、パジャマ、下着、靴等。極端に体型が変わったり、最新の流行を追って頻繁に買い替えるといった事が無ければ高額にはならないかと思います。 - 日用品費 なし~数千円
洗面用具、収納用品他です。石鹸、シャンプー、歯磨き粉、トイレットペーパー等の消耗品は基本料金に含まれていることが多いと思います。 - 嗜好品 数百円~数千円
食事以外のおやつやジュースの費用が主です。 - 趣味にかかる費用 なし~数千円
雑誌に音楽、絵画やスポーツ、外出等、趣味にかかる費用です。 - 散髪代 数百円~数千円
日中サービスの事業所によっては、訪問理容サービスを受けられるところもあります。 - 租税の課税額や健康保険料、介護保険料等の社会保険料 収入や扶養等の条件による
入所施設では租税の課税額や健康保険料を補足給付算定時に経費算入出来たり、介護保険料が適用除外施設として免除される等の仕組みがありますが、グループホームにはそのような仕組みはありません。 - 知的障害者向け賠償責任保険(AIG、全国知的障害児者生活サポート協会、Chubb、ぜんち共済等) なし~2,000円程度
ホームや作業所の備品や他の利用者の物を誤って壊してしまったり、他の方に怪我を負わせてしまった時等の保険です。高額の賠償責任が発生する恐れがありますので加入しておきましょう。 - 入院時の個室利用料や付き添い費用をサポートする保険(全国知的障害児者生活サポート協会、施設利用者互助会、ぜんち共済等) なし~2,000円程度
入院時の個室利用や付き添いは必須ではありませんが、重度の知的障害で多床室での入院や、お一人での入院が困難な場合には必要になることがあります。入院が長期間に及んだ場合、かなり高額の負担が発生する恐れがありますので加入を検討しましょう。 - 成年後見人に支払う報酬 なし~20,000円程度 (市町村の助成を受けられれば低額ないし無料)
成年後見とは知的障害や認知症で判断能力が不十分な方の法律上の手続き等を、選任された後見人がサポートする制度です。司法書士等専門職の方に後見を依頼した場合には報酬を支払う必要があります。ご家族等が後見人を務められる場合この費用は発生しません。又、成年後見はグループホーム入居に必須ではありませんが、ホームから勧められたり、遺産相続が発生した際に後見人の選任が必要になることがあります。市町村の成年後見制度利用支援事業による助成が受けられる場合があります。
さいごに
知的障害をお持ちの方がグループホームで生活する為に必要な費用の説明は以上です。
かなり余裕があるとは言えないけれど、全く足りないということも無いんだなという印象をお持ちになった方が多いのではないでしょうか。
制度が複雑でなんだかよく分からないという方も多くいらっしゃるとは思いますが、大切な人生とお金のことですので、一度しっかりと勉強しておきましょう。
・全国すべての知的障害者グループホームや入所施設を一覧検索できます
独立行政法人 福祉医療機構(通称 WAM)ホームページ「障害福祉サービス等情報検索」・グループホームではなく入所施設の費用をお知りになりたい方は
知的障害者入所施設(障害者支援施設)での生活に必要な費用・グループホームと入所施設の違いをお知りになりたい方は
知的障害者グループホームと入所施設の違い
ご質問等ありましたら、お問い合わせページよりお寄せください。分かる範囲でお答えいたします。(誤りのご指摘も頂ければ幸いです。)
参考資料
- 厚生労働省「障害者の利用者負担」(利用者向け)
- 社会福祉法人全国社会福祉協議会「障害者総合支援法のサービス利用説明パンフレット」(利用者向け)
- 厚生労働省通知「障害福祉サービス利用者負担認定の手引き」(行政機関職員向けマニュアル)→ いくつかの県のホームページからダウンロードできますので、google検索して下さい。